我が家4台目のウクレレです。ギターで言えば、所謂、エレアコと言う機種ですね。ウクレレなので、差し詰め、エレウクですかね。

image バンドでウクレレのアンサンブルを始めてから、色々と、トライアンドエラーの繰り返しをして来たんですが、キーボードやギター、ベースやドラムスに音が埋もれないように、ウクレレらしい生音を忠実に再現しようとすると、1T IZ Tenor Ukeにしても、K-4Cにしても、如何しても、足元を固める必要が出てきます。
前々回のウクレレピックアップ考で述べた様に、現在の僕のウクレレ用の足元は、L.R.Baggs社製のSession Acoustic D.I.EFFECTORNICS ENGINIEERING社製のPureUkuleleと言うプリアンプ、同じくEFFECTORNICS ENGINIEERING社製のPurePadと言うパッド、BEHRINGER DIGITAL REVERB/DELAY DR400BOSSのルーパーRC-1で構成されているので、中位のエフェクターボードを使わなければなりません。
これだと、ウクレレとギターの両方を携えて、練習に行くには、車で行かなければなりません。何か、上手い方法はない物かと、ネットや雑誌で色々調べていたのですが、YouTubeで、GodinのMultiukeの画像を見て、いいかも知れないなと思ったんです。

Godinは、カナダのメーカーで、独自のエレアコには、定評があり、John McLaughlinAl Di Meolaを始めとした有名なアーティストがユーザーリストに名を連ねています。
以前から、エレアコのメーカーとしては、僕も知っていたので、アコースティック楽器の拡声の点では、独自の技術を持っているものと考えていました。そのGodinから、エレウクが発売されている事を知って、一寸試してみたいなと思ったのでした。
エレウクなので、プリアンプが内蔵されているし、ボリュームコントロールの他に、3バンドイコライザーが装填されていることからも、ひょっとしたら、足元を軽くできるかも知れないと思いました。
それに、ウクレレマガジンVol.13の記事でも、結構な高評価がついていたので、尚更、試してみたいと言う欲求に駆られました。

Godin製品の正規特約店の1つである池部楽器店リボレ秋葉原に電話で問い合わせたところ、日本限定のMultiUke Limitedが置いてあると聞いたので、早速お店に行ってみました。
お店には、2台のフレームメイプルトップのウクレレがありました。ネットで見た通りの楽器です。1台は、Trans Blueと言う綺麗な杢目の入った何とも言えない青色トップのモデルでした。僕が、現在メインで弾いているエレキギター、渡辺香津美さんのシグネチャーモデルTidewaterもトップが綺麗なブルーの杢目のあるフレームメイプルなので、非常に心惹かれました。
もう1台が、Trans Amberと言う、オレンジと言うか、ブラウンと言うか、これも中々魅力的なトップです。
どちらにするかは、当然、試奏して決めようと言うことで、早速、Blueの方から試しました。初めは、アンプを通さずに、弾いてみました。思ったよりも生音が鳴るので、一寸吃驚。このウクレレは、他のGodinの製品同様、ボディはマホガニーのくり抜き胴にトップ板が貼ってある独自のダブルチェンバーボディ構造。ギターで言うと、セミホローボディ。所謂セミアコと言うボディ構造になっています。なので、生音もそれなりに鳴るんですね。夜の練習も気兼ねなく出来るかも知れないという目論見が外れてしまいました。ギターの場合は、セミアコなら、殆ど生音は、鳴らないので、夜、それなりに弾いても怒られはしないんですが、このウクレレだと、家人から五月蝿いと言われかねないなと言う位の音で鳴ります。
このウクレレの謳い文句が、「生音もアンプサウンドも良い音で鳴るウクレレ。」まぁ、生音は普通の構造をしているウクレレに比べれば、明らかに劣りますが、それなりに、いい感じの音がしています。
次に、アンプを通した音を試しましたが、これが秀逸。流石にエレウク。アンプを通すと、水を得た魚の如くクオリティの高い音が相当の音量でもハウリングを起こさずに綺麗に鳴ります。GodinのHPを見てみると、「 アコースティックな鳴りをキープしつつ、アコースティック楽器につきもののフィードバックを飛躍的に改善しサウンドをコントロールできます。」とあります。また、その理由を次の様に言っています。 「通常のサウンドホールをなくし、EQ周りの溝を空気孔としています。この結果、外からの音はボディ内に入りにくいので外部音に影響されることなく、 よりギターの純粋な音が出る。フィードバックを限りなく最小限にとどめることでギター本来の持つサウンドと、その能力やコントロールをフルに活用できる。 このシンプルな発想をベースにした設計はライブ時に圧倒的な優位性と差別化を確立しました。」
さらにメーカーでは、「ライブで使用されることを前提に考えられたGodinオリジナル設計のボディ構造です。 」と説明しています。ウクレレ自体に装填されているプリアンプが優秀なのか、外付けのプリアンプはいらないかもしれないと思える程のクオリティの高さです。
次にAmberを試してみました。すると、明らかに生音がBlueとは違って聞こえました。お店のスタッフさんも認める程、生音のクオリティが違います。断然、Amberの方が良い音です。アンプを通した音は、正直に言って、殆ど差が分りませんでした。でも、生音の違いが気になって、結局Amberを選びました。

ゴールデンウィークに、糸魚川に行ったのですが、その折、MultiUke Limitedも、持って行きました。孫が一緒だったので、糸魚川では、アンプラグド状態でしたが、意外に生音も綺麗な音で、練習には十分かなと思いました。
糸魚川から帰って来て、自宅のアンプに繋いで、昔出しもしたので、今回は、ファーストインプレッションをお話ししてみようと思います。
では先ず、このウクレレの構造的な特徴からお話しをしていきましよう。
image image 写真はボディの裏面ですが、FenderStratocasterの様な、コンターが付いています。これで楽器のボディが演奏者の体にフィットするし、ボディが体に当たる所が痛くなったりしない構造です。これは、凄く良い構造だと思っています。ウクレレにストラップを付けて背負って立って長く弾いていると、ボディの縁が肋骨に当たって、痛くなったりしますけど、コンターが付いてくれているお陰で、そう言う事が緩和されます。
また、カッタウェイ構造になっているのですが、そのカッタウェイの部分にもコンターがあって、これは、ハイポジションでのプレイヤビリティに貢献していると思います。
そして、もう1つ大きな特徴の1つですが、ネックがボディにボルトオンで付けられています。これも、Stratocasterと同じ様な構造ですね。ボルトオンと言う事は、ネックに不具合が出た場合、付け替えるということも可能だと言う事です。また、ネックには、これもエレキギター同様にトラスロッドが入っていて、万一ネックが反っても、トラスロッドの調整で、改善出来ます。エレキギター同様、付属品にトラスロッド調整用の六角レンチも付いてきます。
この辺りの構造は、エレキギターの構造を基にしているのかなぁと思っています。Godinのエレアコも構造は、これと同じだと思うので、この辺りは、独自の技術をウクレレにも応用した結果なのでしょう。
何れにしても、MultiUke Limitedの様にトラスロッドの入ったネックを持つウクレレと言うのは、非常に珍しいと思います。テナーのウクレレは、弦のテンションが高いので、1T IZ Tenor Ukeにしても、仕舞う時には、弦を少し緩めて仕舞うのですが、これは、そこまで神経質にならずに済みそうです。

image image 次にピックアップと、プリアンプ周りです。MultiUke Limitedは、各弦用に独立したブリッジが用意されています。そして、ピックアップも独立した4つのピックアップが装備されています。メーカーの説明では、「これにより、弦の音を確実に拾い、クリアでバランスの良い音を出力します。」と謳われています。
また、プリアンプとコントロール部は、他のGodin製品同様のレイアウトで、写真で説明すると、向って一番左側のスライダーがマスターボリュームです。二番目が3バンドイコライザーのトレブル調整用のスライダー、三番目が同じくミドル調整用のスライダー、そして四番目が同じくベース調整用のスライダーになります。
そして、「このコントロールはサウンドホールも兼用し、演奏のジャマにならないようボディトップに埋め込まれている」とのことです。

次に、プレイヤビリティについてです。先ず、ネックにトラスロッドが入っている事から、通常のウクレレよりも重いです。立って演奏する場合は、ストラップは必須アイテムになります。ストラップピンが、ボディに装着されているので、ギター用のストラップが、そのまま使えます。
image また、ボディエンドのストラップピンが、出力ジャックを兼ねています。初期の機種は、エンドピンではなく、ボディサイドに出力ジャックが配置されていた様です。エンドピンが出力ジャックを兼ねると言うことは、ウクレレスタンドにMultiUke Limitedを立てかけることを考えると、シールドは、L型にした方が無難だと思います。ストレートタイプのシールドをエンドピンジャックに挿して、スタンドに立てかけると、シールドが床面に当たって、バランスが悪くなる事があり、下手をすると、倒れかねません。まぁ、これは、このウクレレに限った事ではなく、エンドピンジャックが出力ジャックを兼ねているウクレレでは、同じ事が言えると思います。

さて、肝心の音の方ですが、先程も少し触れましたが、生音については、通常のウクレレに比べ、小さいですし、特に、中低域まで、満遍なく豊かに響くと言う訳にはいきません。生音を主に使おうと思っているのであれば、このウクレレは、避けた方が良いと思います。このクラスの価格帯では、十分に生音が鳴る楽器は、沢山あると思います。
ただ、生音を主に使うのでないにしても、エレキギターの様に、素っ気ない音ではありません。一応、ウクレレらしい響きをちゃんと持っており、夜、部屋で静かに練習をしたいのであれば、十分なボリュームで鳴ります。と言うか、我が家では、家人に咎められるだけのボリュームを出せます。
では、アンプを通した音はどうでしょうか。結論から言うと、相当にグッドです。家での練習時は、通常、YAMAHA製のTHR10(旧タイプです)を使っているのですが、アンプのイコライザーは、Bass、Middle、Trebleとも、全て同じ目盛りにして、FLATポジションで、弾いているのですが、MultiUke Limited側のイコライザーの調整で、可成り自由に音質補正が出来ます。外付けのプリアンプがなくても、可成りのクオリティでP.A.出来ますね。ただ、ライブ会場で、ミキサーに出力する事を考えると、D.I.ぐらいあった方がいいかなと思います。そこで、前述のSession Acoustic D.I.をかましてみました。
こうすると、もう、言う事はありません。非常にクオリティの高いウクレレらしい音が相当のボリュームで拡声出来ます。これは、多分にSession Acoustic D.I.の性能によるところもあるかとは思いますが、通常のウクレレに後付けのピックアップをつけた場合とは、可成り違いがある様に思います。どう違うかと言うと、先ず、Notchスイッチを使う必要が無いくらい、ハウリングに強いです。全帯域で、満遍なくしかも、出っ張り引っ込みが無く、再現されます。3バンドイコライザーの調整で、非常に微妙な音も再現出来ますし、相当の自由度で、自分好みの音に変えられます。これが、D.I.1つと、あとは、手元で如何様にも調整が出来ると言うのは、ライブには、最高ですね。足元は、出来るだけ気にしないで演奏に集中したいですからね。
それと、これは、本当に驚きましたが、エア感が可成り上手く再現出来ています。箱鳴りの豊かな響きがちゃんと拡声されるのには、驚きました。元々、生音でもそれなりの箱なりと言うか、余韻は有るのですが、これが、ここまで再現されるのかと思っています。余韻が長いので、場合によっては、前の余韻をミュートする必要があるくらいの響きです。いやぁ、これは、気持ちの良い響きですよ。リバーブをかけたものとは違う、所謂箱鳴りの再現です。
これは、Godinが、ライブで使用されることを前提に考えた設計をしていると説明している通り、狙い通りの製品に仕上がったという事なんでしょうね。エレウク恐るべしです。

image MultiUke Limitedには、写真の様な専用のギグバックが付属してます。バッグには、外側に二重構造のポケットが付いていて、そこに、交換用の弦とシールドにSession Acoustic D.I.、ストラップ、交換用電池数本などが収まります。ライブには、このケースだけで事足りるのも、非常に有難いですね。
今週末に丁度バンド練習があるので、早速実戦で試してみようと思っています。その結果は、また、後程お知らせしたいと思います。