雪国の山菜は、美味いといわれます。それは、春が短く山菜が一気に伸びることで、柔らかく、香りが豊かになるからです。早春の山菜、蕗のとうはその代表です。
蕗は、キク科の多年草で、日本では広く山野に自生します。蕗のとうは、早春その地下茎から芽吹く花穂です。つぼみが開かないうちに天ぷらにして食べるのが一番美味しいと思います。食感は、ふかふかしていて、独特の香りとわずかなほろ苦さがあります。この香りと苦さが苦手だという方もいるようですが、一度好きになると、虜になってしまう大人の味です。
蕗のとうは、天ぷらのほかに、お浸しやお吸い物など、いろいろな食べ方がありますが、春一番を告げる味わいで、これから始まる山菜の季節のまさにプレリュード。とりわけ雪国の人にとっては、雪の消え際から生えてくる春を告げる最初の使者。
そのほろ苦さと歯触りが春を想う心を満たしてくれるかけがえのないもののようです。
そんな春を食しに、一寸遠出をしてみませんか。